やきものあれこれ

2019.03.25

器のシミと目止めについて

やきものあれこれ

 

~器のシミと目止めについて~

陶器は磁器とは違い、多少の吸水性があります。釉薬の収縮により起こる貫入(釉薬の亀裂)や、白化粧を施した陶器では焼成の際に土からガスが抜けるときに出来るピンホール(ミクロンの穴)からしみることがありますが、釉薬上のわずかな隙間ですのでご使用を重ねるうちに徐々に止まります。器に時間をかけて使い味をまとわせていく様を「器を育てる」などと表現します。どうぞ時間とともに器をお楽しみ頂ければ幸いです。

なお、シミや汚れが気になる場合には「目止め」をお勧めします。(特に白化粧の器などシミが目立つものなど)簡単な方法は、乾燥している器を米のとぎ汁に一晩ほど十分にしみ込ませた後、そのまま洗わずにシミの痕跡が見えなくなるまで完全乾燥させてからキレイに洗います。(乾燥機で乾燥させてもかまいません)一回の工程で不十分な場合は、何回かこの工程を繰り返して下さい。

2017.12.08

工房名「壹」の由来

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陶器工房壹の設立は1996年。まだ30歳にも満たない若造時分のことでした。

陶芸家の工房名は代々受け継がれたもの、思想や信条を表したもの、名から広がるイメージを重視したものと多々あるわけですが、土地の名前、自身の名前に由来したものが一般に多いといえるのではないでしょうか?

現在のうるま市(旧 具志川市)に間借りして始まった陶器工房壹は居候状態だったため土地の名前を付ける訳にもいかず、さりとて29歳の若輩者には将来を見渡した思想信条を謳うこともできず、否むしろこれから踏み出す一歩以降起こるであろう様々な展開に胸踊らせているような状態だったので自然と名前にちなんだ工房名を選んだような気がします…。

幸い私の名が「壹岐」というそう多くはない名前だったので直ぐに「壹」の字を調べることになるわけですが、あるじゃないですか!やきものとの深い繋がりが!!!

「壹」の字の起こりは「壺」+「吉」。壺の中に発酵物を入れ、きっちり蓋を閉めたものが順調に発酵している様を「壹」としたのが由来だということでした。発酵物は人類の叡智。食糧事情の厳しかったであろう古代、中世代においては仕込んだ発酵物の甕が満々と満たされていくさまはどれだけの安心感と幸福感を当時の人々にもたらせたかと想像するだけで私まで満たされた気持ちになったものです。「壹」の字のように自身も世になにかをもたらす工房であるようにと迷うことなく「壹」の字を工房名とさせていただいたのでした…。